古幕院駅(羅州市文平面)



 古幕院(コマグォン)駅は湖南線終着駅の木浦から数えて、八つ手前の駅でした。現在は夢灘−一老間の明山駅が無くなったため七つ目、ということになります。

 旧古幕院駅は、木浦からソウルまで延びる国道一号線のすぐ脇にありました。現在の古幕院駅はそこから南に数百メートル入った丘のあいだに位置しています。




 この日は、松汀里から、10時10分発木浦行きのトンイル号に乗って現在の古幕院駅で下車しました。この列車は大田→木浦間を結ぶ唯一の列車で、電源車と客車のほかに最後尾には荷物車が連結されています。古幕院駅にはこの列車を含めたトンイル号列車が上下計8本と、ソウル−木浦間で運行されるムグンファ号1往復(2本)が停車します。

 ちなみに、左の写真の左下に写っている方は、ホームから駅舎への地下階段を使わずに、本来は乗務員用かと思われる小さな踏切(廃枕木を敷いたもの)を渡っていくところなのですが、駅員さんも何も言いません。この駅は停車する列車よりも通過列車のほうが多いはずなのですが・・・まあ、普段の利用者は地元の方だけでしょうし、この区間は列車の本数も限られているため、弾力的な運用(?)をしているのでしょうか。
 地元民ではない私も、階段など使わずに駅舎側へと線路を渡りました。同じ湖南線でも、松汀里以北の駅では同じような踏切を渡ろうとした乗客に対して、駅員の方が階段を指してそちらを利用するようしっかり指示している場面を見たことがあるのですが・・・




 古幕院駅の正面は、老安駅や夢灘駅などと基本的なトーンは共通ながら、正面がちょっと凝ったつくりになっています。この日、降りた人は私を含めて3人でした。
 駅前には何もなく、ただ道路が横切っているだけでした。右へ向かうと道はすぐに90度曲がって上り坂になります。最近出来た道らしく、まだ路肩は工事中のようでした。幅が広いわりに中央の線がないのも、これから引く計画なのかもしれません。


 上り坂はすぐに終わり、左へカーブする下り坂になります。多分こっちで合っているだろうという思い込みの下に歩いていきますと、果たして旧駅跡に特有の鉄道林の列が目の前に現れました。
 そして、コンクリートの低い壁が見えてきました。低いといっても、旅客用のホームにしては高すぎます。どうやら旧古幕院駅の、貨物用ホームの跡のようです。

雑草の茂るホーム跡のすぐ向こう・灰色の防音壁の手前を、光州・羅州と木浦等を結ぶ市外バスが走る国道一号線が通っています。




旧古幕院駅跡地に立って


 現古幕院駅から歩いてきた道は、駅跡の幅の広い築堤を南北に断ち切る形で横切り、その北側の国道1号線と交差しています。道の向こうの建物群が、かつての駅前の様子を忍ばせます。


 築堤の切断面から、旧・鶴橋駅(現・咸平駅)・木浦駅方面の旧駅構内を眺めたところ。
 写真中央に写っている、マッチ棒のように見えるのは、中途半端に寄せ集められたPC枕木の残骸です。




 切断面の木浦側の縁に立って、今度は反対側の多侍・羅州側を眺めたところ。
 写真右側、かつての旅客ホームの形をかろうじて留めている辺りを、自転車を押している人が歩いているのが見えます。そしてその左には線路3,4本くらいの間を空けて、旅客用より一段高い貨物用のホームの残骸が残っています。




旅客ホーム跡の上から、道床跡を挟んで貨物用ホーム跡を眺める。


 旅客ホーム跡の一部に残る、コンクリートの表面と縁石。何度も大型のトラックや重機類が通ったのでしょう。路面はひび割れてU字にへこみ、縁石部分は外側に傾いています。
 そしてその外側の軌道跡の上には、石や枯れ木等の廃棄物が乱雑に積まれていました。



 山積みのまま放置された木製枕木と、すすきのコラボレーション。



 場内の東端。




古幕院−多侍間の旧線


 駅跡地を抜け、上り方面の隣の駅である多侍〔タシ〕駅の方向へ少し歩いて行くと、旧線沿いにある倉庫へ通じる道として新しく砂利が敷いてある区間がありました。
 その倉庫の入口の前を過ぎ、さらその先へ行くと、土の見える路盤が雑草に覆われながら続きます。



 駅跡地を出ても、線路脇の鉄道林はしばらく続きます。
 跡地を出てすぐ、新しく砂利が敷いてある区間に入ります。写真の右手に見える倉庫の前まで砂利時期は続いていて、その先はかつての道床の砂利が残されていました。


  


 さらに進むと、砂利を掬い取ったような跡があり、その先は雑草が一段と濃く生い茂っています。




 旧線跡を横切る砂利道とぶつかります。交差地点の先は藪と化していました。人里離れた山奥ならいざしらず、この中を進んでいくにはちょっと不審すぎるかな・・・と思い、脇を回る道へと迂回することにしました。



 並行する道路のへりから旧線の築堤を眺めたところ(古幕院方向)。コンクリートの壁面が雑草の下から顔を覗かせています。







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