谷城・谷城鉄道公園探訪


■谷城駅(全羅線・全羅南道谷城郡谷城邑)


全羅線谷城(コクソン)駅は、全羅線の路盤改良工事に伴い1998年までに同郡梧谷面にあった旧谷城駅から、数百メートル離れた現在の位置に移転しました。なお、谷城駅を挟んだ金池−槐木(?)間は複線化されています。
かつての谷城駅は、駅舎が保存されるとともに、駅舎前の広場を舗装し、かつての乗降場を再整備するとともに、構内に旧式の客車を静態保存して展示したりする目的で現在も整備工事が進行中です。




現在の谷城駅。
駅の前に、何処からか移設した腕木式信号機が設置されています。


その腕木信号の脚元には、信号てこも3本安置されています。かつて任城里駅に設置されていたものと同じ形のようです。「東アジア鉄道イソウロウ事務所」のMINEYUKI様に依れば、任城里駅の信号てこは2003年10月現在で既に撤去されているとのことですが、もしやここに移設されたのでしょうか?任城里と谷城はかなり離れているとはいえ、可能性はゼロではありません。
・・・動くんでしょうか?信号と連動しているのでしょうか?(さすがにそれは無いか…)飾り物なので触れなかったのですが、作動するのかを確かめなかったのが今になって心残りではあります・・・





谷城駅前に出て、ロータリーの先の坂を下った所に、全羅線旧線の鉄橋が残されていて、その片側の切り落とされた築堤の上に小屋のようなものが立っていました。
ちらっとどこかで読んだ気がしますが、鉄橋を渡った先にある鉄道公園の、トロッコ列車の乗りばのようです。・・・トロッコ「列車」にしてはあまりにホームが小さすぎるので、何か別の設備かとも思ったのですが、実際に公園に行ってみると疑問は解けました(次のページ参照)。

ところで、上の写真の街灯の形がちょっと変わっていることに気付かれたでしょうか。頭頂部を拡大するとこうなります。


丸く湾曲したパイプに沿って、蒸気機関車の牽引する列車がくっついています。まるでトンボのように・・・

ご存知の方もいるかもしれませんが、ここ谷城郡は「トンボの郷」というのをキャッチフレーズの一つにしています。似たような例では、全羅南道咸平郡が「チョウ(蝶)の故郷」みたいなことを名乗っていまして、駅舎や周辺の構造物に蝶のモチーフを使用しています。推測ではありますが、ここ谷城ではそうした虫と鉄道とがユニークな形で結びついて、オブジェとして飾られている模様です。
(・・・本当にトンボと関係があるかは分かりませんが。)





鉄橋と築堤の小屋から、道路を挟んで反対側を眺めます。同じ高さで続いていたはずの築堤は切り崩されて一部が自家用栽培の畑になっていました。数百メートル先で現在の全羅線と合流しているように見えます。




さて、駅前を離れ、鉄道公園へと向かいます。保存・管理が現在もなされている様子の旧線上を歩く事は避け、並行する道路から旧線を眺めながら歩いていきます。



途中、旧線の向こうを走る新線上を、上りの貨物列車が通り過ぎていきました。写真手前の、細い木が何本かひょろひょろと生えている築堤と線路が旧線です。



しばらく進んでいくと、旧谷城駅前の古い家並みや倉庫が立ち並ぶ地区に入っていきます。旧谷城駅は並行する国道17号線から少し入った所にロータリーがあり、その奥に駅舎が位置しています。

旧谷城駅の入口の向かいに、大韓通運の事務所が置かれていました。かつて日本の国鉄の、主要な駅には必ず日本通運があったように、韓国の古い駅の隣接地では大韓通運の事務所や倉庫をよく目にします。
旧光州線の旧潭陽駅跡地の前にも、大韓通運が営業所を構えていたことが思い出されました。






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