旧明山駅−夢灘駅(務安郡夢灘面)

(その一)

 旧明山[ミョンサン]駅と夢灘[モンタン]駅の間は栄山江の川岸にせまる山と入り江の間を高い築堤と短いトンネルを繋げることで解決していたのですが、複線化には致命的なネックでした。
新線は、長大なトンネルをつなげてほぼ直線で夢灘と一老の間の山並みを貫いています。
それだけに、この区間の廃線は貴重でもある、と思い、今回の踏査に出かけました。ここを歩くのが最初からの主目的でした。
栄山江沿いの旧線には3つのトンネルがあって、地図によれば北から順に第一窟、第二窟、第三窟と名づけられていました。全て、入口が石造りの重厚なたたずまいを見せてくれました。





ミョンサン駅跡から2、300メートルほど北の地点。ミョンサン駅構内で右にカーブしていた旧線は今度は左にカーブして、栄山江沿いの河岸崖へと入っていきます。
両側に広がるのがミョンサンの集落。こうして鉄道が無くなって、村の人たちはむしろほっとしているのかも、とふと思いました。


近くの場所から見た、栄山江と対岸の山、家々。


線路は築堤と切通しで段丘面を進んでいきます。一方道路は大河と崖のあいだを蛇行していきます。
前方に高い築堤が見えてきました。
この先がミョンサン−夢灘(モンタン)間の一番南のトンネル、「第三窟」です。


築堤の上に上る道があったので、登って見ました。
見えました。第三窟です。第三窟のむこうに、第二窟も見えています。


築堤から眺めた栄山江。対岸の山と、川岸の家々がきれいに水面に映っていました。
それにしても、手前の川岸の小さな空間は何なのか、謎です。PC枕木や電線のコイルなど、旧線関係の廃材を利用しているようなのですが・・・何なんでしょう?


トンネルの入口の手前に、偶然にも短い区間ながらレールがそのまま残っていました。もちろん、日本では新幹線など一部でしか見られない標準軌です。
ついこの間までこのレールの上を、栄山江を見下ろしながらいくつもの列車が幾千、幾万人もの人を乗せて走っていたのだな・・・と。


第三窟の正面。どっしりとした石組みのアーチ。


(左)トンネルの中で見つけた距離表。上の「8」はなんだか分かりませんが(第8線区とかあるのでしょうか)、下の「234」はキロ数らしい。時刻表を当ってみたら、湖南線の始点である大田操車場からの距離が、だいたいこのくらいのようです。ソウルからは、約400キロ。
(右)トンネルを抜け、反対側から撮影した第三窟。


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