今後の切り替え・廃止予定のある区間


現在、韓国では鉄道の輸送力強化、高速化を目指して、複線化・電化・路盤改良等の工事が全国あちこちで施工もしくは計画されています。
このうち、当サイトで中心的に扱っている全羅南北道(=湖南)地域(韓国西南部)で現在進行中のものとしては、主に次のようなものがあります。このページでは全羅道地域やそれ以外の地域の切替予定の情報について扱い、新しい情報を掴み次第随時更新していきたいと考えております。情報をお持ちの方は、当サイト掲示板までお寄せくださると幸いです。

全羅道以外の地域についてはこちらを。

湖南線
●任城里−木浦間 電化・複線化工事
現在、湖南線は大田操車場−任城里までが複線化され、単線区間は上記区間を残すのみとなっていますが、この区間も複線化させるべく工事が進行中です。すでに新築された任城里駅、および現在の木浦駅の位置は変わりませんが、その駅間は新しく造られる経路を通るため、現在の途中駅である東木浦駅は廃止される予定です。開通は2003年末を予定しているとの事です。

→2003年12月9日午前0時をもって新線に切替えられました。これに伴い、湖南線は全線の電化・複線化が完了したものとみられます。
参考:「東木浦駅の今・2003年11月


●大田−木浦間電化工事
湖南線全区間の複線化工事とあわせて、電化のための工事も進められました。2004年4月から京釜高速鉄道との直通運行が決まっており(註:韓国の国鉄は日本と違い、在来線も高速鉄道も全て標準軌です)、現在4時間以上かかるソウル−木浦間が2時間半ほどにまで短縮されるだろうとの事です。2003年12月現在、すでに湖南線内での高速鉄道車両の試験運転が開始されています。また、湖南線から光州へも乗り入れが決まっていて、すでに試験運転が行なわれているとの情報もあります。
→2004年4月1日、京釜・湖南高速鉄道が開業しました。ソウル⇔光州間は約2時間半、ソウル⇔木浦間は約3時間と、いずれも所要時間の大幅な短縮が実現しています。
ちなみに湖南線のうち、大田(もしくは天安など)から益山(全羅線との分岐駅)までの区間には在来線に並行して高速鉄道の軌道を建設する計画(まだ確定せず)もあります。

※なお、細かいことですが、松汀里−河南間の光州線・慶全線分岐点に存在する北松汀里信号場の三角線も全て電化されており、河南⇔極楽江(−光州)、松汀里⇔極楽江のいずれも電動車の運行が可能になっています。
ただし、北松汀里の東端から分かれる慶全線についてはいっさい非電化のままです。




全羅線
●任実−金池間 路盤改良工事
以下の枠内は2004年5月までの時点での状況です(最新の情報は枠の下に):

これまで部分的に改良工事を進めてきた全羅線の益山−順天間の工事で、最後に残ったのがこの区間です。この路盤改良工事は、軌道(現在は単線)の直線化を行ってスピードアップを図るものであると同時に、将来の輸送力増強に備えて複線分の路盤と電化に備えた予備工事も含んだものになっています。2004年までの開通を目指していますが、すでに2002年10月17日には中間の書道駅が新駅に切り替わるなど、切替えは段階的に進行中です。
この区間は、日本でも現在は地方のJR準幹線や小私鉄にのみ残っている「通表閉塞」の区間で、通票(タブレット)や「腕木式信号機」などの昔ながらの設備を今も現役で使用している区間ですが、この路線からそれらの姿が消えるのも間近に迫っています。
※参考:「オス駅にて」「五柳駅にて

(2003.10.16修正)現在までの切り替え状況と今後の見通しを記しておきます。
書道:新駅に切替え済み
山城・周生:現在の位置で駅の全面建て替えが進行中(どちらもほぼ完成、周生駅は新駅舎供用開始との知らせあり)
鳳泉・(五柳)・オース・南原駅:新駅に移転予定
甕井:廃止?
五柳:移転にともない隣の鳳泉駅(現在は無配置簡易駅)と統廃合で新「鳳泉」駅に?(不明)

なお、残された順天−麗水間についても路盤改良工事が決まっており、現在設計段階に入っているとの事です。


(2003.7.17)掲示板で切り替えに関する情報が寄せられました。
旧書道駅は駅舎を含んだ土地が地元・南原市によって公園施設として保存される計画で、駅舎も保存されるとのことです。
また、任実−周生間は本年中に切り替えられる可能性が高いとのことです(期日は未定)。切替は2004年に延期されました(9月10日の追加情報↓参照)。
現在のオース駅舎についても、旧書道駅とならんで保存・再利用する計画があるとのことです。
情報をお寄せくださったたっきー様、ありがとうございました。


(2003.9.10)五柳駅を訪問しました。駅長さんに伺ったところでは、新線への切替は現在のところ、2004年4月6日(?)にいっせいに行なわれる予定とのことでした。

なお、この付近の新線は同駅のある五柳里地区の背後の山の中を通っている一方で、新線の高架路が国道と交差する地点には「鳳泉」という名称の駅が完成していました。新線切替後には「五柳」という駅名は姿を消すものとみられます。

(2004.5.1)2004年4月の高速鉄道開業によるダイヤ改定と同時に、新線へ切替が行われるかと予想されていたのですが、2004年5月1日現在では切り替えはまだ完了しておらず、ダイヤ改定後も通票閉塞による運行が継続されています。切り替え時期については、“5月中”という話が出ていますが、正式な日程はわかっていません(「東アジア鉄道イソウロウ事務所」のMINEYUKI様にご教示いただきました。ありがとうございます)。いずれにせよ、新線の軌道の工事はかなり進展しているため、2004年の夏休みを待つだけの期間的余裕はないのではないかと推測します。

全羅線の上記区間については2004年6月までに書道−山城間が、7月17(?)日までに任実−書道間が、そして8月5日までに山城−金池間が切り替えられ、全区間の切替を終了しました。これにより全羅線の通票閉塞区間は全て営業を終了しました。

新線切替後の各駅の状況です。五柳駅は駅名としては無くなり、旧線では無配置簡易駅だった鳳泉駅の名が新線上の信号場として設置されました。
オース(オス)、南原、周生、甕井の各駅は新線上に移転となっています(甕井は移転後も無配置駅の模様)。このうち全羅北道の主要都市の一つである南原駅は、市街地の北辺にあった旧駅からその北西の山中の新駅舎へと大きく移動し、市内の交通にも大きな変化をもたらしました。





慶全線:
●宝城−任城里間の新路線
切替え・廃止とは関係のない区間ですが、まるっきりの新路線と言うのはこの地方では珍しいので取り上げます。
現在、順天から木浦へ鉄道で行く場合、慶全線は宝城から北上して光州市の松汀里にいたり、木浦へはそこから湖南線で南下するというルートで、直線で結ぶのに比べて光州を通って大きく迂回するルートになります。そこでこの区間を直線で結ぶべく、宝城から現在鉄道の通っていない長興、康津といった地域を通って任城里まで、全羅南道西南部を横断する新路線が計画されました。現在は設計段階とのことです。


ちょっとよもやま的な事情について触れますと・・・この路線は現在、計画線の段階からすでに設計段階へと進んでいますが、その背景には、全羅南道の道庁所在地の移転計画が要因の一つとして挙げられると思います。これは現在光州広域市の市内にある全羅道庁を移転し、木浦市と近接している務安郡の任城里駅近くの場所に、新道庁を中心とした新都市を造成する計画です。すでに工事は進んでいるのですが、全羅南道の西の端に位置するこの地に将来道庁が移ると、順天・麗水等の全羅南道東部から道庁に行くアクセスが不便になるため、補償措置の一環としてこの鉄道の建設が実現に向かって動いたという側面もあるのではないか、と推測します(あくまで推測ですが)。

さらに追記しますと。2010年に麗水へ海洋博覧会を誘致するという計画に、東部地域への補償措置的な意味合いもあったといわれるのですが・・・こちらはつい最近の12月初めの国際コンペで落選してしまいました。落選を伝えるニュースでは、この事で東部地域の西部地域に対する不公平感が強まるのではないか、という憂慮が言われていましたが、どうなりますことやら・・・。





次に、今まで把握できている、全羅道地域以外の路線の切り替え・廃止予定についてまとめました。まだ把握しきれていない部分も多いため、随時補完作業を進めていきたいと思います。
なお、この項目を作成するにあたり 無等鉄道掲示板メガ¥様が投稿して下さった内容が基幹になっていることを申し添えます。また、データベースとして「未来鉄道DB(韓国版)」が大きな参考になっていることもあわせて付記します。
今後、これにその他の情報もあわせて整理して、今後の切り替え・廃止予定区間や駅についての情報を、少しずつとりまとめていきたいと考えております。


※略図は、当サイト(無等鉄道)で独自に作成したものです。
※地名(駅名)の漢字表記には間違いがあるかも知れません。




●中央線・京春線の切り替え
略図は2004年当時のものです。その後、切り替えは進展しています。以下の記事をお読みください。

中央線・京春線忘憂付近の切り替え略図(無等鉄道作成)

中央線・忘憂付近の切り替え:
忘憂駅〜九里駅(新設、現路線の忘憂−陶農間に設置) 切り替え → 東交信号場が移転し、松谷駅になります。
〔完工〕

京春線・忘憂付近の切り替え:
清涼里〜城北〜葛梅 切り替え:
清涼里〜城北〜葛梅から清涼里〜忘憂〜葛梅に経路を変更します。これに伴い、新孔徳、花郎台駅が廃駅になります。
〔完工予定:'09年〕

中央線・徳沼付近の切り替え:
サンペ(三佩/三牌?)駅(新設)〜徳沼駅間 切り替え → 移転、廃駅、新駅なし
〔2005年12月完工〕

※なお、中央線に関しては、これと共に清涼里駅−徳沼の電化複線化、および現在の一般列車運行に加えて電鉄線(首都圏通勤型電車)電車運行が開始しています。2008年12月には、徳沼よりさらに先の菊秀駅まで電鉄船が延長開業しました(電鉄線については「韓国の鉄道・廃線あれこれ」を参照ください)。

京春線ではこれとは別に清涼里−忘憂−春川間で電鉄線を運行するための複線電鉄化工事が行われ、2010年に完成しました。これに伴い切替前の旧線区間が廃止となり、また客車列車は全廃されています。





●大邱線
以下の枠内は2004年5月までの時点での状況です(最新の情報は枠の下に):

東大邱−清泉間略図(無等鉄道作成) 東大邱〜清泉 切り替え:
・大邱広域市北部を通る大邱線を郊外へ迂回させる形の付け替え工事です。京釜線顧母〜慶山間に駅名未定の貨物中継駅が新設され、駅名未定新駅−清泉駅間に新線を建設、新線上に琴江駅が新設されます。
これにともない、東大邱−清泉間の路線と東村、半夜月駅の両駅が廃止されます。
結果として、大邱線は東大邱分岐から、上の駅名未定駅からの分岐に変更されます。路線は東大邱〜東村〜半夜月〜清泉から(東大邱〜顧母〜)上の駅名未定駅〜琴江〜清泉に切り替わります。
〔完工予定:'02〜'03年〕
(02.2.3追記)〔開通予定:2004年(「未来鉄道DB」の情報より)〕
※この区間に関しては、当サイト内の「大邱線の切替え予定区間を巡る」にて廃止予定の駅舎等の写真をご覧になれます。

(05.9.16追記)当サイト掲示板に日本海(=メガ¥)様がお寄せくださった情報によれば、2005年11月1日をもって新線切り替えが行なわれるとのことです。
2005年の新線切り替え後も、旧線の一部は空軍基地等への連絡線として残置されていましたがその後清泉駅からの新たな連絡線が完成し、略図の水色の線の部分は完全に廃止されました。細かい状況については、日本海様のページ「韓國鐵道100周年!」内の「2005年 10月 31日, さよなら、大邱線・旧線」をご参照ください。


●長項線
温陽温泉〜洪城、周浦〜藍浦、舟山〜舒川 切り替え → 移転、廃駅、新駅なし
〔完工予定:'06年〕完工し、2008年1月1日に天安〜(新)長項〜益山までの直通運転を開始しました。
かつての長項線の終点だった(旧)長項駅の手前に新長項駅が新設され、そこから錦江を渡って群山線に連結する新線が開通しました。それと共に群山線の大部分の区間は長項線に統合され、群山駅も新駅に移転しました。
新・旧線の長項線の(新)長項駅から旧長項駅改め長項貨物駅間は長項貨物線となり、大野駅から旧群山駅改め群山貨物駅間は引き続き群山線とされました。これにより、かつての長項・群山両線の末端区間から旅客列車が姿を消しました。


●嶺東線
東柏山〜道渓 切り替え → 韓国最長の鉄道トンネルの「蓮花ソラントンネル」(全長 約16km・ループ式)が新設
・嶺東線最大の難所である高度差区間の改良工事。これに伴い、韓国でここだけのスイッチバックである興田、羅漢亭の両駅を含む3段スイッチバックや、途中の樋里、深浦里も廃駅になります。また、この区間の雄大なΩ字のつづら折りの区間も、切替えと共に廃線になります。
〔完工予定:2007年→2010年に延期→トンネル外の道渓側区間の工事の遅れにより、2012年ごろ開通見込み〕
※この区間については、東アジア鉄道イソウロウ事務所 のMINEYUKIさんが嶺東線の羅漢亭駅にイソウロウにてレポートしておられます。

→2012年6月26日、ソラントンネルへの切り替えが完了し、スイッチバック区間は廃止されました。


●東海南部線
右洞〜機張 切り替え → 海雲台、松亭駅 移転
〔2013年完工〕

●東海南部線・中央線
浦項〜慶州〜蔚山、および 乾川〜慶州間切り替え
慶釜高速鉄道のうち、未完成の東大邱〜(新)慶州〜釜山の開業に伴い、既存線の経路を大幅に変更する工事です。現在の慶州駅は、市中心部から南西に離れた所に新設される高速鉄道・(新)慶州駅に統合され、市内中心部を通る現在線は、現在の慶州駅・仏国寺駅等を含む相当の区間が廃止になります。
〔完工予定:'14年〕




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